(ケーススタディ:訴訟事例) 離婚時の財産分与
弊所は、家庭裁判所でRelationship Property (共有財産)を争う妻の代理人となりました。妻を支持する判決に対し、夫は高等裁判所へ控訴しました。
私たちが直面した最初の困難は、弊所がクライアントの弁護を担当することになった時点で、妻が精神疾患により訴訟手続きに応じなかったという理由から夫が行った自宅の売却申請に対して、抗弁する機会を与えられなかったことでした。結果として自宅の売却命令が出されましたが、その後再審理が認められました。
我々は夫から提出された多くの偽証をひとつひとつ明らかにしなければなりませんでした。夫妻は中国での株式売却を通じてかなりの富を得ましたが、夫は一貫して夫妻は富を持っておらず、義理の兄弟から借りた切手を売ることによってニュージーランドの自宅を取得することができたと主張していました。さらに夫は家庭裁判所での公判において偽の証人を呼び、中国の法律の専門家として証言させました。
この他にも公判を通して直面した困難がありました。それは夫妻の本当の財産がどの程度であるかを示す証拠となる夫の銀行の明細書を中国から入手することでした。別離の後、夫はオークランドに姉妹名義の不動産を住宅ローンを組まずに2軒購入しましたが、夫は彼の中国の銀行明細を証拠資料として提出しませんでした。そのため我々は不利な推論 (Adverse Inference)を下すよう裁判所に要請し、これに成功、 住宅ローンフリーの不動産2軒の購入資金は、夫婦の共同財産とみなされ財産分割の対象となるRelationship Propertyに含まれることとなりました。
夫の遅延行為のため公判は長引きました。公判開始のわずか数日前や、高等裁判所に彼が控訴した時でさえ、彼は新しい主張を展開して我々をかく乱させようとしました。しかし我々は反対尋問によって彼の嘘をひとつずつつまびらかにし、彼が主張するいくつもの「事実」が信頼できないことを裁判所へ示すことに成功しました。
結果として、我々はクライアントがRelationship Propertyを等しく分配されるという、考え得る中で最高の判決を得ることができました。