ロックダウン中の労働者の権利について
ロックダウン中も労働者は通常と同じ額の給与を受け取る権利があります。
まず被雇用者(雇われて働いているすべての労働者の方)に知っておいていただきたいことがあります。それはロックダウン中であっても、雇用主は従業員へ通常支払っている給与と同じ額を支払う義務があるということです。これは在宅勤務をしている場合でも、業務形態から在宅ワークが不可能な場合でも同じです。
「雇用契約書」は被雇用者と雇用主の間で交わされた法的書類であり、ここに明記されている労働時間、給与、年休取得等にかかる条項は、非常事態宣言が発令された現在のような状況でも有効です。
賃金補助制度
賃金補助制度はこのような非常事態において、雇用主が従業員へ給与を支払うことを助け、解雇による失業者を減らす目的で導入されました。この制度を利用するかどうかはそれぞれの雇用主の判断に任されています。申請条件を満たさないため申請できないケースもあるかもしれません。しかし同制度利用の有無にかかわらず、雇用主は従業員へ決められた給与を支払う義務があります。
同制度は「雇用主が従業員へ給与を支払うための財源に充てる」ためのものです。雇用主はこの助成金を全額従業員の給与支払いに充てなければなりません。
3月27日に以前発表されていたCovid-19休暇制度が同賃金助成制度と一体化されることが発表されました。さらに政府はEssential service従事者で健康上の問題のために働けない労働者の雇用を守るための政策も検討しています。
雇用契約書
雇用契約書にはあなたと雇用主の権利義務が明確に記されています。例えばあなたの給与、いつ有給休暇や傷病休暇を取得できるか、そして解雇のプロセスなどについてです。
まずはご自身の雇用契約書の内容をよく確認してみましょう。
以下に「こんな場合はどうすればよい?」というQ&Aを掲載します。
雇用主からロックダウン中の給料は半額しか払えない、または全く払えないと言われました。
上記の繰り返しとなりますが、ロックダウン中で在宅勤務が出来ない、お店をオープンすることが出来ない状況であっても、雇用主は従業員へ給与を全額支払う義務があります。これは補助金申請の有無とは関係なく、あなたと雇用主の間で結ばれた雇用契約書に基づく法的拘束力です。もしも雇用主が支払いを行わない場合、Employment Relations Authorityへ申し立てを行うことが出来ます。
https://www.era.govt.nz/
しかしながらこのような状況の中、特にお店を閉めなければならないケースにおいて、給与を全額支払うことが難しい雇用主も多くいることと思います。
雇用主は従業員の同意を得た上で、給与の減額を行うことが出来ます。
政府は補助金を申請する全ての雇用主に対して、補助金を受け取っている期間、最低80%の給与を従業員へ支払うための最善の努力をするよう求めています。その上で、もしも不可能な場合は最低限補助金を全額従業員へ支払うことを義務付けています。
ロックダウンの期間中に年次有給休暇を取得するよう言われました。年休を使わなければいけないのでしょうか?
雇用主は下記の場合、従業員へ有給休暇を取得させることが出来ます。
- 従業員との間で「いつ有給を取得するか」の合意が得られず、かつ14日以上前に事前通知を行った場合
- (年末年始など)毎年決まった期間休業しているケースで、14日以上前に事前通知を行った場合。
もしも雇用主が突然休業しなければならなくなった場合(天災等で職場をクローズせざるを得ない等)で、雇用主が14日以上前に事前通知を行うことが出来なかったケースについて、雇用主は従業員へ有給取得を強制することは出来ません。
詳細は下記のリンクをご参照ください。
https://www.employment.govt.nz/leave-and-holidays/annual-holidays/taking-annual-holidays/
お店を閉めなければいけないので解雇すると言われました。
繰り返しになりますが、まずは雇用契約書の「解雇」の項目に書かれている内容を確認してみてましょう。従業員を解雇するためには定められた方法で、定められた期間をかけて解雇のプロセスを行わなくてはなりません。今日「明日から来なくてよい」と言うだけでは法的に不十分です。
雇用主は正式な手続きであなたを解雇するまで、あなたへ給与を支払う義務があります。
詳細は下記のリンクをご参照ください。
https://www.employment.govt.nz/ending-employment/redundancy/
https://www.employment.govt.nz/workplace-policies/workplace-change/overview-of-workplace-change/
私の雇用主が賃金補助制度を使用しているか確認する方法はありますか?
政府は3月27日、賃金補助制度により資金を受領した企業名を公表することを発表しました。もしもルールを守っていない雇用主を発見した場合、通報することが出来るようになります。
私は「カジュアル」契約で働いています。この場合私の雇用主は私の分の賃金補助も申請できますか?
出来ます。
雇用主は、ロックダウンがなければその期間に働いていたであろうカジュアル契約の従業員についても、賃金補助を申請することが出来ます。
昨年の賃金支払い実績に基づき、週20時間未満の場合はパートタイムのレートで、それ以上の場合はフルタイムのレートで申請することが出来ます。
就業期間が1年未満の場合には、雇用期間中の平均値で申請を行ってください。
通常の給与が補助金支給額より少ない場合はどうなりますか?
通常給与として支払われている金額が支払われます。雇用主は補助金との差額を他の従業員への給与支払いに充てることが出来ます。
従業員として、または雇用主として、現在の雇用関係に不安のある方がいらっしゃいましたら、この投稿へのコメント、ダイレクトメッセージ、またはメールにてご連絡ください。
出来る限りご質問にお答えしたいと思っています。
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